学習塾・予備校・スクール経営者が知るべき情報教育・プログラミング教育必修化と変わる日本の教育について

2022年8月23日配信

カテゴリ:
経営戦略 時流

いつもお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の小川と申します。

本日は、小学校から大学といった教育機関に携わらせていただいている私より “情報教育・プログラミング教育必修化”の影響や今後の見通しを解説させていただきます。

情報教育やプログラミング教育というキーワードを見て、
☑プログラミング教育は塾・予備校には関係ない
☑教科「情報」対策はまだ考えなくて大丈夫
☑プログラミングスクールで教科「情報」対策は十分
と思われた方は特に、
本コラムにて「なぜ塾・予備校・スクールにおいて対策が必要なのか」「日本の教育にどのような変化が起こるか」についてご説明しますので、今後の経営のためにもぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

情報・プログラミング教育を無視できない2つの大きな変化とは

情報教育・プログラミング教育というトピック自体は聞かれたことがある方が多いかと思いますが、どれほど大きな変化が起こっているかについて文部科学省や内閣府の方策・提言なども踏まえて理解されておりますでしょうか。

2016年にIoTやAIによる新しい社会の姿としてSociety5.0が提唱されて以降、日本の教育業界は大きく情報教育・プログラミング教育の強化に舵を切られました。

そのなかでも特に大きな影響をもたらした変化が
①小学校から高等学校における情報教育・プログラミング教育の必修化
②大学入学共通テストへの教科「情報」導入
の2つです。

それでは、それぞれの具体的な内容を説明させていただきます。

小学校から高等学校における情報教育・プログラミング教育の必修化

文部科学省は、2017年3月に小学校及び中学校、2018年3月に高等学校の新学習指導要領を公示し、情報教育やプログラミングに関する学習内容が新設・追加されることとなりました。

そして、この情報教育・プログラミング教育の必修化については、小学校は2020年度、中学校は2021年度から全面実施。高等学校は2022年度から学年進行で高校1年生の代より実施されております。

小学校から高等学校における教育内容が変化しているということで、どれだけ大きな変化が生じているかは理解いただけるかと思いますが、情報教育・プログラミング教育は単なる1つの教科・科目の枠組みではないということを理解いただくことが非常に重要です。

情報教育・プログラミング教育において、プログラミングについて学ぶことはありますが、「情報処理能力やデザイン思考」といった全ての学習に通じる根幹としての能力の養成が想定されております。

そのため、小学校から高等学校において必修化された情報教育・プログラミング教育は1つ教科・科目が追加されたというよりも、大きな学校教育における変化において貴重な1つのパーツであるとご理解いただければと思います。

大学入学共通テストへの教科「情報」導入とは

独立行政法人大学入試センターは、2021年3月に2018年告示の高等学校学習指導要領に対応する形にて、2025年度の大学入学共通テストから出題教科として教科「情報」を導入することを発表しました。

また、国立大学協会や東京大学も入学者選抜において教科「情報」を原則として課すことを発表したことにより、2025年度の大学入学共通テストからほとんどの国立大学受験者にとっては必須の教科となりました。
大学入学共通テストは、共通一次やセンターと呼ばれていた時代もありましたが、教科の追加というのはとても大きな“事件”であり、日本の教育の大きな変革期にあると言ってもよいでしょう。

また、国立大学が導入決定したことにより細々とではなく、ある程度のスピード感をもって世の中に広まっていくことが考えられます。

今後、国公立・私立問わず一般入試へも教科「情報」が試験科目として追加されていくことが見込まれるなか、特に中学生・高校生を対象とした塾・予備校においてはスピード感を持った対策を行っていただく必要があるかと思います。

塾・予備校・スクールにて求められる情報教育・プログラミング教育とは

ここまでお読みいただいて、
教育業界で大きな変化が起こっていることについてはご理解いただけたかと存じます。

最後に大きなポイントとして、学校で既に行われており大学入試にも導入される情報教育というのは「プログラミングスクールで全て対策できるものではない」・「受験対策は暗記科目として詰め込めば対策できるものではない」という2つのポイントを説明させていただきます。

まず、「プログラミングスクールで全て対策できるものではない」という点ですが、これはプログラミングスクールの学習内容が全く役に立たないわけではなく、学校における情報教育というものがプログラミングの内容を包含するものであり、既存のプログラミングスクールでの学習内容では全体をカバーできないことを意味しております。
科目「情報Ⅰ」では、「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「情報通信ネットワークとデータの活用」といった学習内容もあり、プログラミングだけでない学習も求められていることから「プログラミングスクールで全て対策できるものではない」ということをご理解いただければと思います。

次に「受験対策は暗記科目として詰め込めば対策できるものではない」という点ですが、前の章で触れたように情報教育にて身に付けるものとして、知識だけでなく「情報処理能力やデザイン思考」といった考え方に近いものも求められております。
そのため、教科「情報」にて身に付けた能力を中心に応用的に回答することが求められることも考えることができます。ですので、教科「情報」を暗記科目としての対応に留めることは注意が必要であることをご理解いただければと思います。

まとめ

今回、日本の教育の大きな変革期として、その中心にある「情報教育・プログラミング教育」の話題についてお伝えさせていただきました。

急速に変化が見込まれる教育業界において、
国の動き・学校の動きというものを注視していただきつつ、
本コラムをお読みいただいた皆様には社会の動きに乗り遅れることなく、
新たな時代においても素晴らしい教育を続けていっていただければと思います。

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