大学入試における教科「情報」新設による学習塾・予備校市場への影響とは

2022年4月27日配信

カテゴリ:
時流

皆様、いつもメルマガ・コラムをお読みいただきありがとうございます。

本日は、大学入試における教科「情報」新設による
学習塾・予備校市場への影響をお伝えいたします。

入試への教科追加という受験業界における大きな変革期ですので、
ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

はじめに

ご存知の方も多いかと思いますが、
2025年大学入学共通テストから教科「情報」が新設される予定です。

実際に具体的な話として、
国立大学入試における大学入学共通テストの受験科目に
教科「情報」が活用される方向性で進んでおります。

2022年1月の国立大学協会から
「2025年度より国立大学における大学入学共通テストにて
原則として情報を含む6教科8科目を課す」ことが発表されました。

また、2022年3月には東京大学から
「2025(令和7)年度大学入学者選抜大学入学共通テストにて
情報を課す」ことが公示されました。

GIGAスクール構想による学校でのインターネット環境の整備、
プログラミング教育の必修化に続き、
大学入学共通テストにおける教科「情報」の新設によって、
小学校~大学まで一気通貫での情報教育の体制がついに整備されてきました。

今回のコラムでは、
1.教科「情報」とはなにか
2.今後の受験市場への影響の見通し
3.学習塾・予備校市場への影響の見通し
をお伝えさせていただきます。

教科「情報」とはなにか

文部科学省の「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」では、
高等学校における科目「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」の設置経緯を以下のように記載しております。

==
問題の発見・解決に向けて,事象を情報とその結び付きの視点から捉え,
情報技術を適切かつ効果的に活用する力を
全ての生徒に育む共通必履修科目としての「情報Ⅰ」を設けるとともに,
「情報Ⅰ」において培った基礎の上に,問題の発見・解決に向けて,
情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用する力や
コンテンツを創造する力を育む「情報Ⅰ」の発展的な選択科目としての「情報Ⅱ」を設けた。
==

また、各科目にて生徒に考えてもらいたい内容として以下の記載があります。

==
「情報Ⅰ」では,プログラミング,モデル化とシミュレーション,
ネットワーク(関連して情報セキュリティを扱う)と
データベースの基礎といった基本的な情報技術と情報を扱う方法とを扱うとともに,
コンテンツの制作・発信の基礎となる情報デザインを扱い,
更に,この科目の導入として,
情報モラルを身に付けさせ情報社会と人間との関わりについても考えさせる。

「情報Ⅱ」では,情報システム,ビッグデータやより多様なコンテンツを扱うとともに,
情報技術の発展の経緯と情報社会の進展との関わり,
更に人工知能やネットワークに接続された機器等の技術と
今日あるいは将来の社会との関わりについて考えさせる。
==

この学習指導要領から読み取れることとして、
◆「情報Ⅰ」の学習範囲については全ての高校生に学習が求められる
◆「情報Ⅰ」の学習範囲はプログラミングに限らず、情報デザインや情報モラル、
データベースの基礎のような内容も含まれる
◆「情報Ⅰ」の発展科目として「情報Ⅱ」が用意されている
◆「情報Ⅱ」では、情報システムやビックデータが内容として想定され、
一部の高校生はAIなどの領域についても学習を行うことになる

ここから、学習塾業界の皆様にご理解いただきたい点としては、
「情報Ⅰ ≠ プログラミング教育」という点です。

プログラミングは情報Ⅰの範囲内でありますが、
プログラミング学習によって
「情報Ⅰ」の受験対策が網羅されないことについてご理解いただき、
次章を読み進めていただければと思います。

今後の受験市場への影響の見通し

現時点ではっきりしていることとしては、
冒頭お伝えさせていただいた通り、
2025年度以降に国立大学を受験する高校生にとって、
原則的に教科「情報」の受験対策が必要になるということです。

大学入試においての受験科目は、
アドミッション・ポリシーという入学者の受け入れ方針に紐づき定められます。

現代の社会における情報を取り扱う力(教科「情報」において身に付ける力)というのは、
社会において活躍するためだけでなく、
大学で学ぶ上でも重要になってくる力であるため、
私立大学の一般入試において、
「情報」という科目が導入されていくことは十分考えられます。

特に情報系の学部学科は近年新設が目立つ大学の学部学科系統の1つであり、
より高度な情報教育を実施する上で「情報Ⅱ」相当の力を持っていることは、
入試の時点で大学側としても見極めたいポイントかと思います。

まとめますと、
◆2025年度より国立大学志願者は原則「情報」の受験対策が必要となる
◆将来的には私立大学の一般入試での教科「情報」も見据えるべきである
◆近年新設トレンドである情報系学部学科では科目「情報Ⅱ」相当の入試が課される
可能性も十分に考えられる

このような受験市場の影響を踏まえ、
次章では学習塾市場への影響についてお伝えさせていただきます。

学習塾・予備校市場への影響の見通し

教科「情報」の解説パートにてお伝えした通り、
プログラミング学習だけで科目「情報Ⅰ」を網羅することは難しいため、
プログラミング既習者が有利になることはあっても、
それだけで受験対策が完結しないことは1つのポイントです。

つまり、
教科「情報」へ対応するのであれば、
プログラミングスクールや学習塾・予備校の経営者の方は

“教科「情報」によって求められている学習内容”

をしっかりとご理解いただいた上で、
今から対策をご検討していただく必要がございます。

1つ注意していただきたい点として、
大学入試センターにて公開されている「情報 サンプル問題」を見て、
単に暗記科目であるという誤解をしないでいただきたいという点です。

教科「情報」は1つの教科でありつつ、
数学の統計的な学習も紐づくように、
教科を横断するような“これからの学びを支える思考の基本”でもあります。

特に学習塾・予備校経営をされている皆様においては、
教科「情報」についての理解を深めていただき、
2025年の教科「情報」新設への対策を進めていっていただければと思います。

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元・文部科学省情報科担当であり、
教科「情報」の学習指導要領の取りまとめに携わられた
鹿野利春氏にゲスト講師として登壇いただき、
「情報教育の在り方」についてご講演頂くほか、
本コラムでお伝えさせていただいた受験市場への影響や、
学習塾・予備校業界での教科「情報」への向き合い方についてもお伝えいたします。

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